実用新案と特許との違いと、その出願から登録にいたるまでの流れを説明して下さい。
保護の対象
出願書類が特許庁に提出されると、それが特許法などで定める手続的・形式的要件を満たしているか審査され、所定の要件にしたがっていない手続については手続の補正が命じられ、また、却下処分がなされることがあります。
出願公開
実用新案法は「物品の形状、構造または組合せに係る考案」を保護の対象としています。そして「考案とは自然法則を利用した技術的思想をいう」と規定しています。特許法の発明とは異なり、考案には、技術的思想の「高度性」が要求されていません。実用新案法が「小発明」保護制度であるといわれる所以です。
また、考案は「物品の形状、構造または組合せに係る」ものに限定されるので、方法や材料などは保護の対象になりません。
考案が実用新案登録を受ける要件は、特許要件と基本的に同じです。
ただし、特許法では当業者が既存の技術から「容易」に発明できたときには進歩性がないとされますが、実用新案法では「きわめて容易に」考案できたときに進歩性がないとされます。ですから実用新案法では、特許法よりも、要求される進歩性の程度が低くなっています。
出願は、願書に明細書、図面および要約書を添付して特許庁長官に提出して行ないます。特許出願と異なり物品の形態を問題とするので、図面は必ず添付します。
出願については、早期に権利を付与するため1993年の法改正で、出願書類が法定の形式的・手続的要件を満たしているかの方式審査と基礎的要件の審査がされるだけで、実体審査がされずに登録されることになりました(無審査主義)。
したがって、前述した登録要件は、実際には、登録後に争いになった場合に無効審判で判断される登録無効理由として機能します。
権利の存続期間
実用新案権は登録により発生し、その存続期間は、従来、出願から6年とされてきました。しかし、特許権の存続期間(出願から原則20年)に比べ、あまりにも短期間となっていることが、近時、特許出願件数が増大する一方で、実用新案登録出願件数が減少している1つの要因として考えられたため、2004年の法改正により、実用新案権の存続期間が出願から10年に延長されました。
実用新案権は、登録実用新案を業として実施する排他的独占権であり、侵害者に対して、差止請求、損害賠償請求などの権利行使ができるものです。
しかし実体審査をへず登録されるので、本来登録されるべきでないものまで登録されることがあります。
そこで実用新案法は、実用新案権者が権利行使をするには、相手方に対して、実用新案技術評価書を提示して警告しなければならないとしています。実用新案権者に適切な権利行使をさせ、相手方には客観的な判断資料を提供し、無用の紛争を防ぐ趣旨です。
実用新案技術評価書は、実用新案権の有効性について、特許庁の評価を記載した書面です。誰でも特許庁長官に評価書を請求できます。
評価の対象は、新規性・進歩性・先後願、拡大された先願の地位です。他の登録要件については評価の対象となっていないので、権利行使にあたっては注意義務を尽くす必要があります。
警告後に実用新案登録が無効とされた場合は、権利行使をした者は相手方に生じた損害を賠償しなければなりせまん。ただし、評価書で有効と評価を受けていたにもかかわらず無効となった場合、その他相当の注意義務を尽くしていた場合には免責されます。
実用新案制度の魅力向上策 実用新案出願件数が激減している現状を踏まえ、前述した権利存続期間の延長のほか、実用新案権の設定登録後の実用新案登録に基づく特許出願を一定期間に限り可能とし、その特許出願は基礎とされた実用新案登録出願のときになされたものとみなす制度を導入するなどの法改正が2004年になされました。

