PCT出願という言葉をときどき聞きますが、これはどのような制度であるか、ご説明して下さい。
これは、特許出願の手続面および審査面で国際間が統一した取り扱いを行うようにした国際特許出願のことです。
従来、複数の国で特許権を取得するには、各国の言語で、各国の方式・手続にしたがって出願しなけれはなりませんでした。これはパリ条約に基づく優先権を主張して出願する場合も同様でした。
各国の特許庁としても、重複して同一発明を審査しなければならず、事務量が膨大となっていました。
このような出願人・特許庁双方の負担を軽減するため、1970年、特許協力条約(PCT=Patent Cooperation Treaty ) が成立しました。わが国では1978年10月1日から効力が生じています。
PCT制度は、発効後30年を経てその非効率性が指摘されるようになり、改革の議論がなされた結果、PCT規則改正案が2002年のPCT同盟総会で採択され、2004年1月に発効しました。
手続の流れ
国際出願
出願人は、所定の受理官庁(わが国では日本国特許庁または世界知的所有権機関の国際事務局)に対して、1つの言語(わが国では日本語または英語)で、国際出願ができます。
所定の要件を満たしていることが確認されると、PCTの全締約国において、国内出願したのと同じ効果が与えられます。
この制度ば、パリ条約を強化するものであり、属地主義を手続面で修正するものといわれています。
国際調査
受理官庁は、国際出願の1通(受理官庁用写し)を保持し、1通(記録原本)を国際事務局に送り、他の1通(調査用写し)を国際調査機関(ISA。世界の代表的な特許庁が担当)に送ります。
ISAは、特許文献を中心にしたいわゆる「PCT最小限資料」を対象に先行技術を調査し、発見した文献名を国際調査報告書(ISR)に掲載して、出願人および国際事務局に送付します。
国際公開
国際事務局は、優先日(出願日または優先権主張日のいずれか早いほう)から18カ月経過すると、ただちに国際出願の内容などを、公開します。
国際公開
国際事務局は、優先日(出願日または優先権主張日のいずれか早いほう)から18カ月経過すると、ただちに国際出願の内容などを、公開します。
国際予備審査
出願人が国際予備審査機関(IPEA。世界の代表的な特許庁が担当)に対して国際予備審査を請求しない場合には、国際調査見解書(ISO)に「特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)(IPRP)(Ⅰ)」という新名称が付せられます。
他方で出願人が、ISOに対して反論したいといった理由により、国際予備審査を請求する場合には、IPEAが作成した国際予備審査報告書は、新たに「特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)(IPRP)(Ⅱ)」と併称されます。
国際予備審査請求は、国際調査報告の送付日から3カ月か、優先日から22カ月のうち、いずれか遅い日まで行なえます。
指定国はIPRPを有力な参考資料にして、自国の法令に基づき審査できます。
国内段階への移行
出願人がISRやIPRPなどの検討の結果、手続をさらに進める場合には、優先日から30か月以内に、指定国に翻訳文の提出をし、国内手数料を支払うなど、その指定国の国内段階へ移行するのに必要な手続をします。
それ以降は、各国の制度にしたがって審査が進められます。
したがって、PCTを利用する場合には、パリ条約上の優先権を利用して最初の出願から12か月以内に第二国に出願する場合よりも、さらに18カ月も時間的余裕をもって、出願準備ができるというメリットがあります

